「…気にしないで下さい。公の場に出たのは結婚式くらいで、サロンへもあまり参加はしていないので…」
マリアからは、もっとお茶会など開いて貴族の方達を招くように言われていた。
しかし、アリスは極力避けるようにしていた。
「…恐れ多くも私からお声をかけてしまうなんて…」
「ああ、私から声をかけなければいけない事ね。馬鹿馬鹿しいと思う。私の国ではそんな仕来りはなかった。」
アデラは少し驚いたようにアリスを見た。
「…すみません。失礼ですがお茶も飲まずにお一人で座ってらしたので、私と同じ最近社交界デビューなさったのかと…」
アデラは顔に似合わず、ズバッと物事を言うようだ。
それも、王太子妃に向かって。
思わずふふっとわってしまった。
そして、素直なアデラをアリスは気に入った。
「…同じようなものです。良かったら仲良くして下さい。」
手を差し出すと、アデラも微笑み握手をした。
パンパン
すると、みんなの前でマルヴィナが手を叩いた。
「皆様、今日は珍しい方をお招きしているんですよ。」
すると、ドアが開き一人の男性が入って来た。



