バタン!
シドは扉を勢い良く開けると、椅子に腰掛け大臣たちと話しているシャーリーンの姿があった。
アリスもシドとランス、それにゼノと共にやって来た。
初めて聞く名前、シャーリーン様。
王様の姉上で、シドの叔母上様だ。
他国の王子と結婚したが、11年前に王へ測位したばかりの夫が病死し、子がいなかった為王妃の座を退位し我が国へ戻って離宮で暮らしていると、ゼノが教えてくれた。
深緑のシンプルなドレスを身に纏い、首からは青い宝石で出来たペンダントを下げている。
プラチナブロンドの美しい髪を一つにまとめ、内面から気品さと知性が溢れ出ているような女性だった。
シド達を見ると、シャーリーンは優しく微笑んだ。
「…久しぶりですね。シド。それにランスも帰っていたのね。」
「俺は一時帰国だけどな。」
シャーリーンはゆっくりとアリスに視線を移した。
「初めまして、あなたがアリス様ですね。」
アリスはシャーリーンの前に出ると、深々と頭を下げた。
「お初にお目にかかります。アリスと申します」
すると、シャーリーンはアリスの手を取り優しく握りしめた。
「…とても、可愛らしい方ね。あなたたちの婚儀に駆けつけることも出来ず、ずっと申し訳ないと思っていました。シドの叔母になります、シャーリーンです。」
美しく、聡明なシャーリーンにアリスは思わず見惚れてしまった。



