コンコン


リエルをマグに任せ、アリスはシドの部屋にやって来た。

中へ入ると、珍しくソファーに腰掛け深刻そうな顔で俯くシドの姿があった。



「…シド、国王様へは…」

アリスが声をかけると、ハッとしたように顔を上げた。


「…ああ、先程行ってきた。。」

顔色が良くないシド。
アリスはいつもと様子が違うシドの顔を伺った。


「…あの、報告したい事があるのだけれど、シド…どうかした?」


すると、シドは立ち上がった。


「いや、大丈夫だ。どうした。」


アリスはキースからの手紙や、リエルが自害しようとしてそれをレイドが止めた事、そしてキースの指示の元リエルがシドに毒を盛ろうとした事を全て話した。


話を聞き終えると、シドは暫く黙り込んだ後、アリスの肩に手を置いた。


「…そうか。すまなかった。リエルは今は?」


「私の部屋でマグが診ています。この事はマグと私以外はまだ知りません。」


アリスの言葉にシドは2、3度頷いた。


「…そうか。ここから先は私が対応しよう。アリスは誰かに気付かれぬよう、リエルを看病していてくれ。」

シドの言葉にアリスは頷いた。


「…俺も、話す事がある。レイドは、王の実の子供だった。私の実の弟だ。」

シドの言葉にアリスの心臓がドクんと跳ねた。


王の実の子…

では、王位争いは振り出しに戻ってしまったということ…

シドも表情を歪めた。

コンコン

扉がノックされ、ゼノが入って来た。


「…シド様、急ぎ来て頂きたい。今、シャーリーン様が離宮より参られました。」


「…なに、シャーリーン様が?!」