Christmas Rose



医者やゼノを退出させて、王室にはシドと二人きりになった。

シドに身体を支えられ、ゆっくりと身体を起こした。


「…すまない。町へ出ていたのか。」


「はい。父上にお伝えしたい事が。」


すると、国王は窓から外を眺めた。

「…聖ローズ大聖堂に訪れたのか。」


王の言葉に、シドは驚いた。


「……牧師のクライヴは、いい男だった。」

王は机の中から、一枚の写真を取り出した。

そこには、幼い子を抱くエレーナとその隣に写る牧師の姿が。


「クライヴは、身重のエレーナを教会で住まわせ、面倒をみてくれた。そして、レイドが生まれたら我が子のように可愛がっていた。」


シドは王の言葉に手を握りしめた。



「……レイドは、私の子だ。そして、お前の弟だ」



部屋の外で、ノックをしようとしたレイドが手を止めた。


「…しかし、教会のシスターの話によれば、王妃様は教会へ来た時身ごもっていなかったと…」


「隠していたんだ。身ごもっていたことも、王宮から逃げ出してきたこともクライヴしか知らなかった。」


暫く沈黙が続くと、シドは一通の手紙を取り出した。


「…今日、入院中のクライヴ氏を訪ねました。しかし、彼は病気で3日前に亡くなっていました。父上にこの手紙を預かってきました」


シドの言葉に王は驚き、手紙を受け取った。