リエルはゆっくりと下り、アリスの部屋から出た。
「…キース様、申し訳ありません。申し訳ありませんでした…」
涙を流しながら、そう何度も呟き握りしめていたナイフを大きく振りかぶった。
「っ……!!!」
ザンッ!!
アリスとマグが止めに入ろうと足を踏み切った瞬間、二人の前に誰かが現れた。
ポタッポタッ……
床に敷かれた絨毯に、血が滲んだ。
しかし、リエルの地ではない。
「……レイド様…」
リエルが振りかざしたナイフが腹を貫く瞬間に、レイドが素手で止めた。
手のひらから血が流れる。
レイドは構わず、リエルからナイフを奪った。
突然何が起こったのか、リエルは呆然と目の前にいるレイドを見つめた。
そして、レイドの血がナイフを伝ってリエルの手に流れた時、ハッとした。
握る力が緩むと、レイドはそっとリエルからナイフを抜き取った
「…命を無駄になさらないでください。」



