Christmas Rose


「…その手紙は、キース様からですね。今晩の晩餐会で、レイド様からシドへ贈るブドウ酒へ毒を仕込むよう記されています。」

リエルは瞳を開けると、手紙を見た。


キースはシドを殺すよう、リエルへ命じている。

あの夜、二人を合わせてしまったのは間違いだった。


リエルは暫く黙り込んだ。

そして、重く口を開いた。

「…手紙を、確認させて下さい。」

震える手でリエルは手紙に手を伸ばした。

キースが足繁くリエルの元へ通っていたのは指示をする為、届けていた薬も毒だという事が分かる。


バッ!

すると、リエルは受け取った手紙を掴み取ると、マグが反応する暇なく暖炉へ投げ入れた。


手紙は一瞬にして跡形もなく灰となった。

「……これで、キース様の悪事を証明するものはない…!」

リエルは隠ドレスの裾から隠し持っていたナイフを取り出し、自らの喉に突きつけた。


「…リエル様!!」

アリスが声を上げると、リエルは瞳から涙を流した。


「キース様は、自分の手は汚さずあなた
やレイド様を使おうとした。利用されているのよ!!!」


「…それでも、キース様が望んでいることなら、私はそれに従う…!あの人なしでは、私は生きてはいけない…」


喉に突きつけたナイフで血が流れた。


「…お願い、ナイフを離して、あなたを信じたかった…」


アリスも涙を流した。

今晩、シドへ贈るブドウ酒に毒が入っていたことが知れたら、真っ先に疑われるのはレイドだ。

そひて、リエルにもその矛先は向けられるだろう。

「…お願い、やめて!リエル様、レイド様はあなたを信じているのよ!」

リエルはその言葉に首を横に振った。


「…私にはこう生きていくしかないのです…」