Christmas Rose


兵士が去ると、アリスは受け取った手紙を見た。

差出人の名前はキースだった。


「…マグ、人気のない所へ。」


「アリス様….…?」


受け取った手紙を持ったまま、マグの執務室へ向かった。

周りに誰もいないか確認すると、ドアを閉めて鍵をかけた。


「…中を確認する。」

アリスの言葉にマグは驚いた。


「…なりません。王宮へ届いた手紙は本人以外が開ける事は許されておりません。」

「…キース様が薬を届ける為だけに頻繁にリエル様を訪れているのは気になる。その上急ぎの手紙まで。」

アリスは手紙を見つめた。

「ですが……」


アリスは机からハサミを取ると、手紙を開けた。


同じ立場にあり、これから共に助け合いたいと思っていたリエルを疑いたくはない。

しかし、彼女の態度やキースの事がどうしても気になる。

手紙の中には二枚の羊皮紙が入っていた。

そこに綴られた文字を読むと、アリスの手が震えた。


「…マグ、リエル様を今すぐここへ呼ぶんだ。」