Christmas Rose


慌ただしくなる王室で、ただ立ち尽くし何も出来ないアリスは拳を握りしめた。

国王の傍で手を握りしめる王妃の姿にアリスは声をかける事が出来ずに部屋を出た。


「…マグ、シドへ連絡は。」

「早馬を出しましたので、すぐにお戻りになられるかと。」


そこへ、息を切らしたリエルも駆けつけた。


「…国王様は……」


「まだ意識がお戻りにならない様です…」

リエルは表情を歪めた。

そしてドアをノックして中へ入って行った。

部屋へ戻ろうとした時、一人の兵士が急いだ様子でやって来た。


「…アリス様。」

兵士はアリスに気がつくと頭を下げた。


「…そんなに急いでどうしたのです。」


マグの言葉に兵士は顔を上げた。


「…急ぎ、リエル様へお届けする手紙がございまきて…」


兵士が持つ手紙には、スコルの紋章が入っていた。


「…その手紙、私が届けよう。」


アリスが前に出て言った。


「…し、しかし…」

「リエル様は今国王の部屋だ。王族以外は今王室の中に入る事は出来ない。急ぎの手紙なら、私が届けよう。」


アリスは兵士から手紙を受け取った。