Christmas Rose


「…ねぇマグ。。あの夜、二人を合わせてしまった私は間違っていたのかな。」

執務室でアリスは窓辺に座り、外を眺めながら呟いた。

羽ペンを置くと、マグは振り返った。


「…あの薬は確かにこの国で調合する薬草は揃わず、スコルから取り寄せるしかありません。」

アリスは小さくため息をついた。

他国から嫁いだ者同士、気持ちは分かる。
力になりたいと思っていたし、同じ境遇のリエルが来てくれて嬉しかった。

これから親しくなっていくと思っていたリエルとの仲は、むしろ離れていくようだった。

「次回から、薬は別の者に届けさせるように致しました。やはり元とはいえ婚約者だった方に届けていただくことは良くありません…」




コンコン

部屋がノックされ、息を切らしながらエドが入って来た。


「大変でございます。国王様が…!」


ーーー

アリスとマグは急いで王室へ向かった。

大勢の医者と王妃、それにリエルに囲まれて国王はベッドに横たわっていた。
周りでは医者たちが慌ただしくしている。

「…先ほど再び心臓の発作を起こされて、気を失われました…」

青ざめた国王の表情を見て、アリスは手をぎゅっと握りしめた。


バタンッ!

ドアが勢いよく開き、ランスが息を切らしてやって来た。


「何てことだ…」

早く、シドに知らせなくては…!


「こんな時に、王子は何処へ行っているのです!!」


王妃の言葉にアリスの心臓はドクンと鳴った。