Christmas Rose



「・・美しい音楽の音が突然消えたと思ったら、耳を疑うような言葉が聞こえてまいりました。」


エレーナはホールへ入ると、貴族の男性を睨みつけた。


「・・・レイドが王の子ではない?そんなことがありえるはずがありません。」


エレーナの言葉に、貴族達は視線を逸らした。


「そうでしょう?シド。」


シドは手を握りしめた。



「…はい。母上」




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「…なに、音楽会でそんな事が。」


その夜、王の元を訪れたゼノが今日の出来事を報告した。

ベットに横たわる国王は暫く黙りこみ瞳を閉じた。


その頃、アリスはマグの部屋を訪れていた。


「そうですか。エレーナ様が・・・」


「噂のせいか、リエル様も元気がないみたいだったの。」


アリスははぁっとため息をついた。


「リエル様といえば…」


マグは立ち上がり、書類の山をあさった。


そして冊子の束を取り出した。


「これは、毎日誰がこの王宮になんの目的で訪れたのかを記録したものです。衛兵の者が毎夕私のところへ届けにくるのですがちょっと気になることが。」


マグは記載された記録の一つを指差した。


そのこに記されていた名前は”キース”


キース様…?