Christmas Rose



「まぁ見て。あの二人もう帰って行くわ。」


「帰らざる得なかったのよ。もう噂はかなり広まっているもの。」


随分と噂が広まっている…。


レイド様が王の実の子ではないということが…。

何故こんなにも早く広まってしまったんだろう。。



「…シド様!」


すると、突然貴族の一人が声を上げた。


アリスは振り返ると、男性が人々を押し分けシドとランスの前に出た。


音楽の演奏が鳴りやんだ。


貴族の男性は険しい表情で拳を握りしめた。


「…皆が噂していることは本当なのですか?!レイド様が王の実の子供ではないということは!」



男性の言葉に、ホール内がどよめいた。



「もしそれが本当なら、王室の秩序を乱すことになります!」


シドは黙って男性の言葉を聞いた。


「そうですシド様!王家の血を受け継がぬ者が王位継承権を与えられるなど不当なこと!」


「わたくし達は支持できませんわ!!」


男性に触発され、他の貴族たちも次々と声を揃えシドへ訴えた。


「…シド。。」


「ったく、噂が広まるのが早いねぇ」

ランスが腕を組み呟いた。


アリスが声をかけようとすると、ホールのドアが開いた。


現れたのは、エレーナだ。


王妃の登場に、貴族たちは黙り込んだ。