Christmas Rose



「まぁ、見て。。」


突然、会場がシンと静まりかえった。


皆の視線の先に、レイドとリエルが揃って夜会に現れた。


相変わらず二人の噂はあちこちでされていた。

その上、レイドが王の本当の子ではないということまでが。


二人の姿を見て周りの貴族たちはヒソヒソと話した。


「今晩は。兄上、アリス様」


レイドは二人の前にやってくると深く頭を下げた。


アリスはリエルをバルコニーへ誘った。


西の塔で生活しているリエルとは舞踏会など公の場でしかなかなか会うことは出来ない。

少し見ない間に、少し痩せたように見えた。


「城の暮らしは慣れましたか?」



アリスの問いかけにリエルは微笑んだ。



「なんとかやっています。」


やはりどこか元気がない。

・・まだキース様の事を・・。


アリスはふとリエルの腕の切り傷に目がとまった。


「リエル様、この傷・・」


アリスが腕を触ると、リアルはハッとして腕を振り払った。


リエル様・・?

怯えるように腕の傷を隠した。



「リエル様、レイド様がもう戻られると。」


お付きの者がバルコニーへ呼びに来た。


リエルは頭を下げると、その場を去って行った。