「しばらくの間、いつもの公務はランスとマグに任せる。噂を流した者とレイドの素性を調べなくては。」
「そうだ・・。ランス様とマグって何かあるの?」
アリスは昨日のマグの態度が気になっていた。
「マグが何か言っていたのか?」
「いいえ、ランス様の事を話したら書類をバラまくくらい驚いていたから…」
アリスの言葉にシドはふっと笑った。
「…何処の国をほっつき歩いているか分からないランス相手に、マグも大変だろうな…」
そう呟くシドに、アリスは首を傾げた。
その夜、親しい貴族だけを招いた夜会が開かれていた。
美しい音楽の音色と共に招かれた貴族たちの笑い声が聞こえる。
そんな中、ランスの周りは一際賑わっていた。
「ランス様、今まで何カ国くらいの国を訪れたんですの??」
「一番良かった国はどこですか??」
若い女性たちが、一斉に話しかけた。
「・・そうだな。沢山の国を旅してきたが、やはりこのギルティに勝る国はない。こんなに美しい女性が大勢いるのだからな。」
ランスの甘い言葉に集まった女性達の頬は赤く染まった。
アリスはそんな様子を見て呆れた。
本当にあの人が頼りになる人なのか・・。
すると、ランスと目が合った。
「今晩は、お姫様。」
ランスはアリスの手を取りキスをした。
バシっ!!
すかさずシドが現れ、ランスの手を振り払った。
「いてて・・。全く過保護にしてるねぇ・」
ランスは手をヒラヒラと振って見せた。
「お前は誰でも手を出そうとするんじゃない。それより夜会なんかに出て大丈夫なのか?今日の分の公務は。」
「もちろん終わらせたさ。」
ランスはVサインして見せると、再び女性達が集まる輪の中へ入って行った。



