Christmas Rose



「・・マグ?どうしたの・」

アリスは足もとに散らばった羊皮紙を拾い、マグの顔を見上げた。


すると、いつもの冷静なマグではなく顔を赤らめて動揺しているようだ。


アリスは立ち上がるとマグの顔の前で手をヒラヒラと振った。


「マグ??」


「…すみません、何でもないです。」


マグははっとするとアリスから羊皮紙を受け取って椅子に向かった。




***


翌日、アリスはシドの部屋に来ていた。


いつもはあまり訪れることはない、シドが公務を行う部屋だ。


「・・なるほどねぇ。これじゃあ可愛いお姫さんと夜を共に過ごす時間も削られてしまう訳だ。」




「・・なっ!」


シドから引き継ぐ仕事内容が書かれた用紙を見ながら、ランスの言葉にアリスは顔を赤くした。


「馬鹿なことを言うな。」


シドは用紙を取り上げた。


ルイが留学へ出てからシドの仕事量は一気に増えた。

それに加え王妃様が突然弟のレイドに王位継承権を与えるなどシドは手一杯になっていた。

そんな時に呼んだのが、シドの頼りになる人・・。

ランス様の事結構雑に扱っているけど、わざわざ呼び出すくらいだから信頼しているのよね・・?


「・・まぁ任せておけ。シドは弟だというレイドの素性を調べるんだ。」


「ああ・・。」


ランスの言葉にシドは表情を歪めた。



ランスが山のような書類を抱え部屋から出てくと、シドは窓を開けよく晴れた空を見上げた。


「・・・噂がこんなに早く広まっている。誰かが故意に流したんだ。」


アリスは手を握りしめた。

あの日の夜、部屋の外で誰かが盗み聞きしていた事は間違いない。。