「…この事は内密にするように。」
シドの言葉に、3人は黙り込んだ。
「…それより、王妃様が言っていたこと本当に承諾するのですか。」
ゼノは先ほどの王位継承権をレイドに与える話を切り出した。
「…国王が了承しているというなら、仕方ない。」
そんな…
もし、レイド様とリエルの間に子供が生まれたら…
「…ごめんなさい。」
アリスは小さな声で謝った。
「…私が、世継ぎを生まないとシドは…それに、生まれた子供がもし男じゃなかったら…」
「アリス。」
シドの声が部屋に響いた。
時計の秒針音だけが鳴る中、シドは真剣な眼差しでアリスを見つめた。
「…今の言葉はもう二度と口にするな。」
「…っ」
アリスは口もとを手で覆った。
なんて馬鹿なことを口走ったんだろう。
今の言葉は、あの時の母と同じ……
「…今夜はもう遅い。ゼノ、アリスを部屋まで送ってくれ。俺はもう少し調べてから休む。」
ゼノとともに、アリスは執務室を後にした。



