Christmas Rose


「…あーもう!ドレスが決まらなーい!!」

部屋へ戻ると、アデラがドレスをあれこれ選んでいる。


「…どうしたんですか?やけに張り切っていますね。また、ご馳走目当てですか?」


「それもあるけど、今夜はあのスコル国のキース様が来るのよ!!」


キース様?


その夜、突然の舞踏会だというのに大勢の招待客が次々とギルティ城へやって来た。


「…全く、こんなに急に舞踏会など…」


シドは途中で公務を切り上げる羽目になり機嫌が悪そうだ。

それしにても何故王妃様は突然舞踏会を…

それに、この人の集まり様は…


「…アリス様ったらキース様を知らないんですか?!」


「ええ…」

すると、突然城内の夫人たちから歓声が上がった。

「…キース様よ!!」


みんなの視線の先に、ブランドの綺麗な髪と金色の瞳。
透き通るような白い肌の男性が立っていた。

「…キース伯爵よ!!」


キースと呼ばれる男性はあっという間に女性たちに囲まれた。


「…あの方がキース伯爵。スコルの名門貴族よ。キース様のお父様はギルティを第二の故郷と言うくらい思い入れが強いみたいで、よく舞踏会に参加しているんです。でも、キース様は舞踏会嫌いで滅多に参加なさらないんですよ。」


珍しく、アデラが食べ物以外に興味を持ってるみたい。

キース伯爵。。
全然知らなかった。

キースはお付きの者とアリスの前まで来ると、深々と頭を下げた。