「・・シドには、アシア様がいてくれてよかったんです。シドはあなたを本当の母親だと私に言っていました。」
アリスの言葉に、アシアは瞳を潤ませ微笑んだ。
そう・・。例えこの世に一人でも自分の事を心から愛してくれる人がいれば、人はその人の為にがんばれる。
シドは、ずっとアシア様の為にがんばってきたんだろう。。
「・・アリス様、私はもうシド様のお近くでお守りすることはできません。どうか、シド様の事を・・」
アリスはアシアの手をそっと握った。
帰りの馬車の中、アリスはアシアの言葉を思い返していた。
―私が、王妃様からシド様を奪ってしまった―
王妃様は、何を考えて王宮に・・・
「アリス様、どうされました。」
深刻そうな表情をしていたアリスに、エドが問いかけた。
「ううん…何でもない。。」
***
城へ戻ると、なにやら場内が騒がしい。
「・・どうかしたの。」
アリスの部屋付きの侍女を呼びとめた。
「・・アリス様、お探ししました。王妃様が今夜急に舞踏会を開くと仰せられまして・・」
「舞踏会を?」
ホールを見ると、侍女達が大慌てで準備をしている。
それにしても、何故急に舞踏会だなんて。。



