王妃様が城へ来てからというもの、王室の雰囲気はいいとは言えなかった。。
シドはいつも以上に公務に没頭していた。
国王様も身体の調子が思わしくなく、王妃様とシドの事をとても心配していると。
王妃様と一緒に城へ来た、シドの弟になるレイド様も、この間話した時はどこか思いつめたような様子だった。
国王様から爵位の位を貰い、シドの補佐として公務に携わるよう言われていたが、二人には未だ会話はない。
突然な事に、みんな受け入れきれていないのだ。
「…城では王妃様は或る日突然いなくなってしまったと噂されていましたが、じつは城を出るように言ったのは国王様なのです。」
「国王様が??」
アリスは驚いた。
「…はい。あの頃のエレーナ様は部屋に閉じこもり、誰とも話さなくなってしまった。そんなエレーナ様を心配して、たまには街に出たらどうかと国王様が提案したんです。それ以来、行方が分からなくなってしまった…」
成る程…
国王様はそれで責任を感じて…
「私がいけなかったんです。王妃様からシド様を奪ってしまった私が…」
アシアの言葉に、アリスは首を横に振った。



