Christmas Rose



―数日後


「・・お久しぶりです。アシア様」



アリスは、今は街外れの小さな家で暮らしているアシアの元を訪れた。


もちろんシドには内緒。

エドに我儘をいって、隠れて城を抜け出してきた。


「・・これ、王宮の薬剤師が煎じてくれた薬です。」


アシアは身体の調子があまりよくないと聞いていた。


この薬は王宮にいるときにいつも飲んでいたと、マグに教えてもらった。


アシアに会いに行くならぜひ渡してほしいと、マグからの頼みだった。


「・・まぁまぁわざわざ。この薬、本当によく効くんですよ。」


アシアは嬉しそうに微笑んだ。


家の中に入ると、机の上に立てかけてある写真に目がとまった。



これ・・シド?


「・・10歳のお誕生日の時に撮った写真です。」


アシアは懐かしそうに写真を手に取った。



「・・今日ここへ来たのは手紙に書いたとおりです。」



「お手紙を貰った時は驚きました。。エレーナ様が・・・」



アシアは奥の部屋へ行くと、戸棚から何かを取り出した。


アリスの前に差し出したのは、破かれた一枚の絵・・。

描かれているのは、女の人と手つなぐ小さな男の子。


「・・シド様が描いたものです。隣にいるのはエレーナ様。シド様は最初は私の事を母親だと思っていました。でも成長するにつれ、自分の母親がエレーナ様であると理解していきました。これはエレーナ様に差し上げたのですが・・」


女の人と男の子の間で絵は無残にも破かれていた。



「・・エレーナ様は徹底的にシド様を無視なさるようになりました。お生まれになった頃はあんなに自分の手で育てたいといおっしゃっていたのに・・」





アシアは、絵を見つめた。