「・・それからは、エレーナ様がシド様を避けるようになったとか。。」
マグの話を聞いて、アリスは手を握りしめた。
「・・シド様の4歳の誕生日の前日、エレーナ様は城を去られました。国王様はすぐにエレーナ様を探しました。けれど、その行方は分からず、シド様はアシア様に育てられたのです」
シドはエレーナ様が現れてとても驚いていた・・。
自分のお母さんなのに・・・。
その頃、シドは執務室で公務をしていた。
「・・・」
―母上、母上~!―
幼い頃の事を思い返した。
3歳になったころようやく、自分の母がエレーナであるということを理解しはじめた。
どうして母上と一緒に遊べなのか、ずっと不思議に思っていた。
ある日、アシアに母と遊びたいと申し出た。
「・・ええ、いいですよ。」
「やったぁ!」
シドは走って母親の部屋に向かった。
ドアを開けると、椅子に腰かける母親の姿があった。
「母上~!」
走り寄ると、振り返った母親は冷たい瞳でシドを見下ろした。
シドの足が止まった。
・・・母上?
―あなたは、私の子供なんかじゃないわ―
「っ・・」
母の言葉を思い出してシドははっとした。
コンコン
ドアがノックされ、ゼノが入ってきた。
「・・どうした。」
「シド様、国王様がお呼びです。」



