それから数日間、エレーナは何度もシドは自分で育てるとお付きの者や国王に訴えた。
しかし、王室では代々王子は乳母が育てる仕来たりだ。
エレーナは何日も泣き続け国王も困り果てていたある日・・・
「・・はぁっ。。」
昼過ぎ、エレーナは部屋を抜け出し王子の部屋へと向かった。
バタンっ!!
扉を開けると、部屋には数名のメイドと乳母のアシアの姿が。
「・・エレーナ様?
「・・シド。。」
ベッドでスヤスヤ眠るわが子に駆け寄った。
「シド、、私の可愛いシド。。」
シドは目を覚まし、涙ぐむ母親を見つめた。
小さな身体を自分の胸の中へと抱き上げた。
「・・ぁ、おぎゃぁっおぎゃぁっ」
すると、シドは手をバタつかせて泣き始めた。
あやしてもあやしてもシドは泣きやまない。
どうして・・・どうしてシド・・・!
「・・・っ。。」
エレーナは泣きじゃくるシドをゆっくりとベッドに下ろした。
泣きやまないシドを乳母のアシアが抱き上げた。
すると、あんなに泣きじゃくっていたシドは途端に泣きやみ無邪気な笑顔を見せた。
エレーナはその光景を見ると、その場を立ち去った。



