「…なんだと……」
シドの言葉にエレーナはゆっくりと振り返った。
「…久しぶりね、シド。」
「私の名前を覚えていたんですね、母上。」
母上…
シドの、お母様…?!
ー母は幼い頃に亡くなったー
確か、そう言ってたのに…
それでアシアが母親代わりだったって…
「…ふふ、あなたの母はあの乳母ではなかったのですか。」
エレーナの言葉にシドは視線を逸らした。
グイッ…
「きゃっ?」
アリスの手を引くと、そのまま部屋を出て行った。
アリスの手を引きながら何も言わずに廊下を歩くシド。
「シド…ねぇシドってば……」
ようやく立ち止まると、アリスの手を離した。



