その夜、アステルは新国王就任を祝って街では朝までお祭り騒ぎだった。


一時はどうなる事かと思った国民との絆も、アランのアステルに対する真っすぐな想いが伝わったようだ。


一時は反発していた大臣達も、大国ギルティの王子に後押しされたアランに逆らうことは出来ない。


宴の後、アランは夜のうちにギルティへ戻るというシドを呼びとめた。


「・・・シド様。本当にありがとうございました。」


「俺は何もしていない。あなたの想いに国民も理解してくれたんだ。俺も改めて思い知らされたよ。国民あっての、王室という事をな。」



シドは馬に跨った。


「・・いや、あなたの言葉がなかったら国民はともかく大臣達は認めてはくれなかっただろう。。だが、あなたの力を借りるのはこれが最後です。」


アランの言葉にシドはふっと笑みを零した。


王宮を出ると、レオとリリーの家に向かった。



「・・アリス様。。ソフィア様に会わなくていいのですか。。?」



リリーは心配そうな表情をした。



「・・いいの。もう、会うことは出来ないわ。」


―私の方が、何倍も何倍も苦しんだ・・!!―



ソフィアは昔から優しくて自慢の姉だった。


彼女の言っていたことは本当だ。


私は、王になるという責任に押しつぶされそうな想いをしていたが、
ソフィアはそれ以上に、辛い想いをしていた。いや、私がさせていた・・・。