「またまたぁ、眼鏡かけて背の高い超イケメンとR山牧場行ってたでしょ?」

ぼ、牧場・・・!!?

まさか、口の軽いカナトに見つかるなんてっ。

冷静に振る舞おうとするも、どうしても動揺を隠しきれない。

「ふぅん。三輪くんはR山牧場行ってたの?誰と?」

「僕のことはどうでもいいですって。どうなんですか、あのイケメンと順調なんですか?よかったですねぇ!」

新人のくせにお調子者で、先輩であろうとなかろうと面白い情報があればとにかくちゃかしまくる。

そして声がでかい。

心の中で舌打ちをする。

「ささ、仕事仕事。そんなくだらない話は置いといて早く昨日頼んでた資料ちょうだい。」

「うまくかわしましたねぇ。いい話なんですからうまくいった暁にはまた教えて下さいよー。」

お前には絶対教えないっての。

カナトを右手で払いながら、自分の仕事にとりかかった。

ふぅ。焦った。

こういう噂はたちまち広まるものだ。

広まってほしくない噂ほど、尾びれ背びれつけて広がっていく。

私くらいの年齢になると、とかくおもしろがって噂にされやすいわけで。

結婚が決まってるくらいの状態ならまだしもそうじゃない場合は慎重にならないといけない。

もし、うまくいかなかった場合、それはまた皆の情報のおもしろネタにされて自分が傷つくのが目に見えてるから。

本と気を遣う。

社内メールを使ってハルカに送る。

『今日のお昼一緒にどう?』

ハルカからすぐに返信がきた。

『OK』

ふふふ。ハルカとカイトはどうだったのかな。

自分が幸せだと、こうも相手の幸せを喜べるものなんだと笑ってしまう。

昨日の朝は、あんなに孤独感にさいなまれていたのにね。