「ミナミさんはお酒飲める?」

「ふふ。」

「その含み笑いは、かなりいける口じゃない?」

私は満面の笑みでこくりと頷いた。

「じゃ、今度はお酒飲もう。おいしい居酒屋探しておくよ。」

こんなにも次から次へと予定を組んじゃっていいの?

私たちもこのままトントン行く?

トントン行ける?

まだ私にはその勇気がなかった。

シュンキは素敵だけど、まだ確信が持てるほど知らないし。

そこは、カズエの助言に同意するんだよね。

好きになって、結婚まで考えてても、必ずしもゴールにたどり着くかどうかはわからないもの。

ナオトがそうであったように。

これまでも結婚という二文字が、いつも自分を臆病にさせていた。

牧場の全景を見ながら二人でソフトクリームをなめる。

絞りたての牛乳から作られたソフトクリームはとても柔らかくて濃厚だった。

「おいしいね。」

「うん、ソフトクリームなんて久しぶりに食べた。」

シュンキは丁寧にソフトクリームをなめる。

上からかぶりつくように食べる私と違って、ソフトクリームのとんがった形を残したまま次第にそのとんがりが小さくなっていくような食べ方をしていた。

研究職っていう職業がらなのか、何をするのも丁寧で几帳面な印象だった。

カイトなら舐めずにそのままかぶりつきそうだけどね。

その時、ふいにシュンキが言った。

「僕とお付き合いしてみませんか?」