それにしても、初デートなのに、やたらお互いの深い部分をさらけ出し合ったなぁと思う。

シュンキはとても穏やかで、そしてしっかりと私の話を聞いてくれる。

だから、話しやすかった。

それはカイトから聞いてた通りだったな。

シュンキがコーヒーをゆったりと口に運ぶ姿を見ながら思った。

これまで、恋愛に臆病になってきた私だったけど、少しだけ心を許せる男性が現れたかもしれない。

臆病なのは、年齢だけじゃないんだよね。

亡くなった彼のこともあった。

それを知ってるのは、今はシュンキと、そしてカイトだけ。

亡くなった彼とカイトはとても仲が良かった。

時々、私たちのデートに合流するくらい。

その時は決まって私がお邪魔虫な扱いされてたっけ。

ドラマ好きな私の横でいつも一緒に見てくれてた彼だった。

ドラマのうんちくを一緒に話すのが好きだった。

こんな恋愛いいよねーとか、あんな振り方したらダメだよねーとか。

こういう結婚もありだね、とか。

あまりに居心地がいい彼だったから、遠くない未来に結婚も考えてた。

だけど、それは叶わなかったけれど。


シュンキもまた、辛い過去があったんだ。

報われない恋ほど切ないものはないもんね。

お互い好きなのに、自分から思いを断ち切らないといけないなんて。

そんなこと簡単にできるのかなって思う。

皆、見えないだけでそれぞれに色んな思いを抱えて生きているのね。

この年になると、そういうことも見えてくるようになった。

年取るのも悪いことばっかじゃないのかもね。


その後、シュンキとは本屋をぶらぶらしたりして、夕方18時には別れた。

シュンキはこれからやり残した仕事があるからって。