ハルカはふぅとため息をついて、カクテルをゴクゴク飲んだ。

「私はね、早くミナミ先輩に幸せになってほしいのよ。じゃないと私も幸せになれない。」

私は笑った。

「何かわいげのある後輩みたいなこと言ってんの。」

ハルカもようやく笑顔を見せた。

「ハルカだって、もてるのに全然その気にならないじゃない。私はハルカの方がどっちかっていうと心配だわ。」

「いいのいいの。私はその気になればいくらでも決めれるから。」

「何それ-。なんかむかつく。」

笑いながら、ハルカ目がけてピーナツの皮を投げた。

「もう、やめてよ、大人げない。」

ほんと、小学生みたいな悪ふざけ。

この年になっても、なんら変わってない自分達。

結局成長してないんだわ。

だから、恋愛もうまくいかない。

もっと、成長して素敵なレディになってるはずだった36歳。

何やってんだか。

でも、こうやってハルカとお酒飲んで馬鹿話しているのは好きだったし、何よりも楽しい。

何よりも楽しいっていうのがいけないのかもね。


「ハルカは好きな人でもいるんじゃない?」

カマをかける。

「だからぁ、ミナミ先輩だって。」

「それはなし。もうわかったから。」

チーズに伸ばしたハルカの手の甲を軽くはたいた。