ハルカは鼻声で続けた。

「ずっといつ言い出そうかと悩んでた。だけど、なかなか言えなくて・・・。」

ハルカは子供みたいな顔をして泣いていた。

「私、シュンキとは別れたの。」

「え?」

ハルカの目が大きく見開いて、ようやく私と視線が合った。

「だから、残念だけど結婚はしないわ。」

「それじゃ・・・ミナミ先輩・・・どうしよう・・・」

ハルカは噂が最初に考えていたよりもずっと重たい事態を引き起こしたことに気づいたようだった。

「どうしようかなぁ~。」

私は、ハルカに優しく微笑んだ。

「正直、ハルカがそんな噂を流した当人だったってことは傷ついたわ。今も許せないって思ってる。これが違う人間だったらこんなにも腹が立たないけど、ハルカ、あなただったから余計に傷ついたの。わかる?」

ハルカは目に涙をいっぱいためて頷いた。

「だから、もういいのよ、気にしないでなんて、とは言えない。」

ハルカの視線がテーブルに落ちた。

「だけど、正直に私に打ち明けてくれたことは嬉しかったよ。やっぱり私の大好きなハルカだったって思った。」

ハルカは、私の手をぐっと掴んでまた泣き出した。

「カイトのこと。私もハルカの気持ちに気づいてあげられなくてごめんね。あの時は本当にカイトとはただの友達で何とも思ってなかった。本当よ。ハルカを傷つける気なんて全くなかった。」

今は・・・

軽く深呼吸した。

そして、自分が言った言葉に、自分自身驚いた。

「私、会社辞めようと思うの。」