温泉マップを見て、あまり遠くない場所の方がいいということで一番近くの温泉に行くことに決まった。

その温泉は、お肌よりも肩こりや腰痛、神経痛に効くと書いてあった。

これもありがたいわ。

実は私にとってはこっちの温泉の方がいいかも。

さっきより熱めのお湯にゆっくりと浸かる。

「この幸せな時間がずっと続けばいいのに。」

ハルカが言った。

私も目をつむったまま頷く。

「今日、やっぱりあらためて思ったんだけどさ。」

「何?」

「ミナミ先輩と立花さんて仲良いよね。二人がしゃべりだしたら入れないくらい。」

またか。

今日は随分関わらないよう気をつけたんだけどな。

「まぁ、カイトとはかれこれ10年来の付き合いだし。誰でも付き合い長かったらこんなもんよ。」

目をつむったまま冷静に答える。

「それは重々わかってるつもりなんだけど・・・ちょっと妬けちゃうな。」

ハルカが小さな声で言った。

「うん、そんな風な気持ちにさせてごめん。」

「ミナミ先輩があやまるのもおかしいよね。私がどうかしてるんだわ。」

「これからは、カイトとは距離を置くよ。私もシュンキときちんと向き合いたいし。」

「そっか。そうだよね。ミナミ先輩にはあんな男前のシュンキさんいるもんね。」

ゆっくりと目を開けた。

湯船の上には白い靄がかかっていて、その靄の向こうにハルカがにっこりわらっていた。

単純だけど、かわいいわ、ほんと。

カイトだって、私なんかと比べものにならないくらいかわいいハルカに夢中になるって。

きっとね。