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「お兄様、森から果物を探して来ますね」
シェリーは兄のリアムに声をかけ、ドアを開けた。
ドアを開けた時、木製のドアがキィーっとなった。
マグダウェル家が住んでる所は自然に囲まれた森深くで、滅多に人が通らない。
この家もそこらへんにあった木から作ったのだ。
「1人で大丈夫か?」
「ふふ...お兄様は相変わらず心配性ですね。大丈夫ですよ」
「あまり遠くへは行くなよ」
リアムはシェリーにそう言って、シェリーの背中が見えなくなるまでドアの前で立っていた。
そんなシェリーは兄が心配そうに見ていたなど知らずに、ルンルン気分歩を進めた。
森は神秘的で小鳥たちのメロディーが風に乗った。
5分ほど歩いた所で、鹿(しか)が血を流しながら倒れていた。
シェリーは驚き、鹿に駆け寄った。
「...誰がこんな酷い事を......」
鹿のお腹には弓矢が刺さっていて、血が大量に流れていた。
きっと弓矢が刺さった後、ずっと走って逃げてきたのだろう。
そう思うと胸が苦しくなり、鹿のお腹に刺さった弓矢をグッと掴んだ。
「...今、治してあげるからね」
するとシェリーは、素早く鹿のお腹から弓矢抜いた。