「ごちそうさま」


お姉さんは涙を拭おうともせず、食器を持ってキッチンに行ってしまう。

あれは、きっと、お姉さんの中にあった『 本音』。

わたしがお父さんについてどう思っているのか、聞きたかったその答え。

そして今わかった。

お姉さんとお父さんはいとこ以上の関係だと。

失ってはならなかった、大切な記憶、の一部だと。


「莉々葵。わかってやってくれよ。

あいつもさ、玲斗にいまだ依存して束縛され続ける一人なんだよ。」


「1人?」


いまだ依存して束縛され続ける一人?

何人もいる?


「他にもいるんですか?」


「そうだなーーー。

明日、午前中、一緒にドライブしないか?莉々葵」


「ーーーします」


「そりゃよかった」


お兄さんは優しく微笑んでくれた。