「黙って聞いてればッ!!」


『お母さん!!』


真綺がお母さんに向かって殴りかかる。


「皆、手を出さないで。」


お母さんは真綺の攻撃を
避けながら周りに手を出さない様に制する。


「朱羽、蒼月。」


『お父さん!』


「お父さん…ねぇ、止めないの!?」


ガッ!


バキッ!!


激しい攻防を目の当たりにして、
誰も止めに入らない事に疑問に思う。


「止めない…いや、止められないんだ。」


止められない?


「あの子の気持ちはここに居る誰よりも
朱音が一番理解出来る。

だからこそ、
朱音は否定しなきゃいけないんだ。」


『でも、こんなのって……。』


よりによってこの場所で、
同じ境遇の二人がぶつかるなんて。