パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを


◇◇◇

潜り込んだベッドの中。
あっくんのこと、部長のこと、何からどう考えたらいいのか分からなくて、胸が苦しくなる。

答えはひとつ。
あっくんのことは忘れる。
もうとっくにそう決めたはずなのに。

部長を見たときのあっくんの強張った顔。
お母さんの言っていたこと。
そういったことが頭をぐるぐる駆け巡る。

何年も囚われた気持ちは、そう簡単に私を解放するつもりはないらしい。
大きく息を吐いて目を閉じたところで、部屋のドアがノックされた。


「二葉、入るぞ」


そう断るとドアが開かれる。


「母さんが、これ飲めって」


あっくんがトレーごとカップを差し出した。


「何?」

「はちみつたっぷりのホットレモンだ」


もぞもぞと起き上がり、それを受け取ると、あっくんはベッドに腰を下ろした。


「とんだ誕生日になったな」


クスッと鼻を鳴らして、あっくんが笑う。