もがいてみるものの、「だから、俺は丈夫なんだって」と、離してくれそうにもない。
「二葉の身体、熱いな。やっぱりまだ熱が高そうだ」
それはきっと、風邪のせいだけじゃない。
部長がこんなにも優しくしてくれるから。
大きく包み込んでくれるから。
だから、体温も上がっちゃうんだ。
その温かさに包まれていると、カチャリという玄関のドアの音が聞こえて、咄嗟に部長から離れた。
壁掛け時計が示していたのは、午後三時半。
普段ならば、こんな時間には誰も帰って来ないはず。
ちょっとした緊張感の中、足音が近づくのを待っていると……。
「二葉、起きてて大丈夫なのか?」
リビングのドアを開けたのは、あっくんだった。
どうしてこんな時間に……?
「あっ……う、うん……」
やましいことをしていた訳じゃないのに、焦って立ち上がって直立不動。
あっくんはすぐに部長の姿を認識して、顔を強張らせた。
「お邪魔しています。二葉さんの上司の相原と申します」
私の隣に立ち上がって頭を下げた。



