「……どうかしたの?」


なぜか、あっくんが急にそわそわとし始める。
聞いたはいいけれど、私にまでそれが伝染して、さらに鼓動が速まった。


「いや、何でもないよ」


あっくんは大きく息を吸って笑顔を見せた。

けれど、どこかぎこちない笑み。
やっぱり変だ。
何かあるに違いない。

でも、私まで不審な態度を取ったら、あっくんが気にして何も話してくれなくなるかもしれない。


「ね、あっくん、何を注文してもいいの?」


気を取り直して、笑顔を向けた。


「もちろん。二葉の好きなものを選んでいいぞ」

「んー、じゃあね、私はこれがいいな」


あっくんに向けてメニュー表をかざしたときだった。


「遅れてごめんね、篤哉」


“篤哉”……?