そこに微かながらもあっくんの本心を見つけたような気がして、それを捕らえたくなる。
そこに何かが隠されているんじゃないか。
もしかしたら……なんてことをつい期待してしまう。
「……どうかした?」
探るようにあっくんの目の奥を見つめる。
「いや……。どうしてこう、二葉は長続きしないんだろうな」
私の視線に気付いたあっくんは、一転して呆れ顔を見せた。
何かが見えたような気がしたのは、私の幻覚だったらしい。
どうして私が彼氏と長続きしないのか?
答えは簡単だ。
分かりやすい証明問題もいいところというもの。
『よって、稲森二葉は、恋愛が長続きしない』
そこまでの過程は、中学一年生レベルで解けるに違いない。
でもきっと、あっくんには一生かかっても解けない難題だ。
悲しい顔はポーカーフェイスで隠し、笑ってみせた。



