「二葉!」


琴美は私たちを見つけるなり駆け寄り、私に抱きついた。


「ごめんね、二葉。私、ひどいことばっかり言って……」


琴美の腕の中で首を横に振る。


「私のほうこそ、ごめんね。何も言わずに姿を消したりなんかして」

「ううん。二葉の気持ちも考えなかった私がバカだったの」


真っ直ぐな琴美だから、あのときは当然のことだったと思う。
琴美は私をギュッと抱き締めると、その手を不意に解いた。


「この子が、海二くん?」


そばにいた海二に気づき、琴美がその場にしゃがみ込む。


「こんにちは、海二くん」

「こんにちは」


海二は臆せずニコニコしながら挨拶を返した。
そして、私を見上げて「ママのおともだち?」と聞く。