パッシングレイン 〜 揺れる心に優しいキスを


◇◇◇

「二葉! もう大丈夫なの!?」


デスクに着いた私を見て、おはようの挨拶代わりに琴美が私の顔を覗き込む。


「うん、迷惑かけてごめんね」

「仕事のほうは忙しい時期じゃなかったし、私がいるんだから大丈夫」

「そうだよね、琴美がいなかったら休めなかったもん」


一旦下がりかけた熱は、あの夜から再び上昇。
三日間丸々寝込んで、やっと回復したのだ。


「部長は?」


デスクは空席。
散らばった書類から、ちょっと席を外しただけのようだけど。
出勤したことの報告と、長く休んだことの謝罪をしたかったのだ。

フロア内を見渡す私につられて、琴美も首を伸ばしてキョロキョロとする。


「さっきはいたんだけど……トイレかな」

「そっか。それじゃ、ちょっとその辺を見てくるね」


一旦着いた席を立って、通路へと出た。