バイト先の居酒屋に着くと、既に店内には客が入っていて。




「今日は近くで祭りがあるから、特別忙しいぞ」




店長が言う。




「だから、別の店舗からヘルプが来る」





はぁ……そうなんだ。

ヘルプが来るほど忙しいのか。

数時間前までは諒君と楽しいデートをしていたのに。

なんだか泣けそうだ。




「ヘルプが来るからってサボるんじゃないぞ」




店長はそう言ってあたしを小突く。

そして、



「川島、昨日も客の男と話してたよな」



先輩の上野さんもそんなことを言ってくる。




違うよ……

直斗に絡まれていただけだから。

でも、直斗と話していたのは事実で、



「ごめんなさい」



謝るあたし。

すると上野さんは笑いながら、



「川島、チャラいもんな」



訳の分からないことを言う。