「そこまでお金に困ってないから、大丈夫だよ。気にかけてくれてありがとう...。じゃあ私行くね」


私は席を立ち、さっさと教室を出た。


あんな人とは関わりたくない。それに、なぜ私があれこれ言われなければならないのか分からない。


靴箱に着くと、誰かに名前を呼ばれた。


「梓桜(あずさ)〜」


後ろを振り返ると、親友の相田 夏海(あいだ なつみ)が手を振りながら駆け寄ってきた。


「あ!夏海」


夏海は隣のクラスで、ショートカットの美人さん。ちなみに私は2年1組。


「梓桜、さっきギャルの2人とすれ違ったとき、ブツブツ言ってたけど...またなんか言われた?」


「少しね...。でも気にしてないから」


「...なら、いいんだけど...」


夏海は私の反応に“納得いかない”と言いたそうな顔をしていた。