そう言って彼女は手を引いて、あたしを案内してくれる。
「嬉しいなぁ。
小夜とは別れが惜しくて、なかなか吹っ切れなかったんだからね」
席に着く早々、美菜は自分の事を話してくれる。
「あたしは新しい環境に慣れるまで、大変だったんだよ。
だからたまに美菜のこと思い出すくらいだったかな」
「何それ! ちょっとひどい!」
久しぶりの会話は、やっぱり楽しい。
実を言うと引きこもっていた春休みは、つまらなくて仕方なかった。
だけど外に出る気にもなれなかった。
学校が始まっても、また知らない人しかいない世界の中でやっていかないと思い、少し憂鬱に思っていた。
でも実際の学校は大親友がいたし、所々に知っていた人もいる。



