結月だ。


高鳴る心臓を押さえ、平静を装う。


「待ってたぜ」


あたしと同じ地面に足を踏み入れる彼は、調子を高揚させて言う。



「単刀直入に言うね。


ごめん。

あたし結月と付き合うことはできない」



「あいつと一晩越えて、心変わりしたのかよ!?


どんだけ傷つけられても付き合っていたいって……。

そういう覚悟をしたのか?


その上で付き合うことになったのかよ?」


あの日、大斗の家に上がった日からあたしは結月に会っていなかった。


だから彼がこんな推測をするのは無理もない。