冷静であれば犯人ば誰かわかるはずだが、今のあたしはそうにもいかないようだ。
焦っていて無駄に手足を動かしている。
「さぁー、なんでしょう」
ようやく返事があったかと思えば、その声色は楽しげだった。
「え!? 誰?!」
動作は少し収まったものの、心臓は大きく動きっぱなしだ。
それに…今聞こえた声は、あたしが知っているものではなかった。
「離して…」
声はそんなにおっさんではなかったため、私は更に激しく動く。
すると急に視界が明るくなった。
「え?」
一瞬出た言葉を一旦置き、側にいる人を見る。
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