「もう苦しむのはやめなよ。」


私の言葉に、暗闇から「イヤだ」と言う声が響く。

人間に捨てられた悲しみは自分にしか分からないのだろうけど、それでも私には伝わってくる。


「同情何か要らない。」と泣き叫ぶ声。


確かにこれは、言っている通り同情なのかも知れない。

だけど、同情なんかしないであなたを助ける何て事絶対に出来ないから。


そう言う気持ちがあるからこそ、助けようって原動力になるんだから。


「私が、」


桜の木の所で出会ったとき、悪い妖怪だとは感じなかった。

私にすりよるその姿は、必死で自分を慰めているように思えた。

愛情を求めて、必死だった。


「私が、」


あなたは、人間皆から嫌われたんじゃない。

出会う人をただ間違えただけなんだよ。

一人の人を強く恨むのはもうやめようよ。
あなたの飼い主が全てってわけじゃないんだから。

もうその人の事は許してあげて。
あなたは人を恨む程酷い子じゃないでしょ?


飼い主さんから、お利口さんって褒められたじゃん。出来るよ。変われるよ。


「私があなたを愛してあげる…!!!」