なかなか手を離さない朝霧さんは、私の顔に付いてる何かを
取るのに手こずっているのだろうか。



「なぁ、ちょっとだけ味見していいか?」


「……え?」


味見とは、一体どういう事だろうか。

今は別に、何かを食べているわけでもないし。



「ほんの少し触れるだけ。」

「ちょ、ちょっと…!」



触れそうな唇でやっと言葉の意味を理解した。

味見とは、そう言う意味だったのか。



「何をしている。」