それは絵に全く興味のないあたしでも知っている、世界的に有名なコンクールだったからだ。


このコンクールで大賞を取った画家たちはみんな海外で活躍をしている。


「嘘でしょ……」


エレナがそう呟くのが聞こえて来た。


あたしも同じ思いだ。


他のクラスメートたちは単純に藤吉さんの事を絶賛しているが、あたしたちは違った。


人から買った才能がここまで大きな成果になるとは思っていなかったのだ。


だって……五良野正子はこのコンクールで大賞を取った事は今まで一度もないのだから。


あたしとエレナは目を見交わせた。


藤吉さんの才能は五良野正子を超えた。


そういう事だ。


信じられないけれど、現実にそうなっているのだ。


「みなさん、藤吉さんの絶え間ない努力に拍手を!!」


松田先生の言葉を合図に、教室中に拍手の嵐が降り注いだのだった。