そこであたしは目が覚めた。


見慣れた天井が視界に入ってもそれが夢だったと理解するまでに少し時間が必要だった。


体中汗にまみれていて、心臓はいつもの何倍もの速さで打っている。


「夢……」


ちゃんと声が出る事を確認して、ようやく胸をなで下ろした。


外はいつの間にか真っ暗になっていて、スマホで時間を確認すると夜中の3時を過ぎていた。


漫画を読みながらそのまま眠ってしまったようだ。


重たい体を起こして部屋を出てキッチンへと向かう。


当然両親はすでに眠っていて、誰もいない。


しかしテーブルの上にはラップをかけられた天ぷらが置かれていた。


いくら声をかけても起きなかったあたしの分だろう。


あたしは天ぷらを一つ味見して、そのまま冷蔵庫へと入れた。


まだ食欲は戻っていなくて食べられそうにない。


悪夢で目覚めた体をさっぱりさせるため、あたしはシャワーを浴びたのだった。