「さぁどうぞ」


店員さんが笑顔を絶やさずに、そのドアを開けた。


地下へと続く長い階段。


オレンジ色の蛍光灯に照らし出された階段を見たとたん、あたしの胸の奥に熱いものが込み上げてくるのがわかった。


普通じゃ嫌だ。


みんなの中に紛れて生きる人生なんてつまらない。


この階段を下りて行けば、未来はきっと変わる。


ゴクリと唾を飲み込んだ。


あたしの欲しいものがこの階段の先にあるんだ。


すでにわかっている事なのだから、恐れることなんてない。


前へ進めばいいだけだ。


「いってらっしゃい」


店員さんがそう言い、後ろからあたしの背中をトンッと押した。


あたしは体のバランスを崩し、声を上げる暇もなく落ちていく……。


下まで落ちたあたしを待ち受けていたのは、白いベッドとカメラだった。


「それじゃこれから手術の時間だよ!!」


モンピーが嬉しそうにそう言い、あたしをベッドへ座らせた。


「ちょっと……待ってよ」


手術ってなに?


あたし、まだ何も落札してない!