☆☆☆

「あれ?」


あたしは目の前に光景に首を傾げた。


さっきまで自分の部屋で漫画を読んでいたはずなのに、なぜだか今服屋の前にいる。


オークション会場へとつながるあの小さなお店だ。


「いらっしゃい」


店員さんが顔をのぞかせて笑顔で手招きをする。


行っちゃダメ。


頭ではそう理解しているのに、店員さんの笑顔が暖かくてあたしの足は自然と店内へと引き寄せられていた。


相変わらず高くて買う事のできない服がズラリと並んでいて、あたしは苦笑いをした。


でも、オークションで何億もの金額を見た後なら、何万円という服も安く感じられるかもしれない。


そうやってお店は成り立っているのかな?


そんな風に思った。


すると店員さんが更衣室を移動し始めたのだ。


「あ、待って……」


あたしが止める暇もなく、ドアが現れる。