そして、戸田啓太さんの脳味噌は少年へ。


少年の脳味噌は戸田啓太さんへ入れ替えられた。


モンピーが興奮を隠せない様子で「ついに入れ替わりました!! オークション初の脳味噌の入れ替えです!!」と、叫んでいる。


目の前であんな光景を見せられて平気な顔をしているなんて、普通じゃない。


あたしは吐き気をこらえながら立ち上がった。


これでオークションは終了だ。


やっと外へ出られる……。


と、その時だった。


モニターの画面がパッと移り変わり、あたしは視線をモニターへ向けた。


そこには前回《画家の手》を出品した五良野正子の写真が映し出されていて、あたしは立ち止まった。


写真の五良野正子は両手に包帯を巻かれていて、顔色が悪い。


「ちなみに、交換後体に合わなかった場合はこうなります」


モンピーがそう言い、ニカッと笑う。


次の瞬間、写真は切り替わり五良野正子の手をアップで写したものになった。


包帯がとられたその手は紫色に変色し、縫合した場所から黒いウミのようなものが出てきている。


手が腐って落ちるまで時間の問題だ。


「うっ……!」


思わずその場にうずくまり口元を押さえた。